オタク・ログ

オタクが観たものの感想や備忘録などを書きます。

【感想】九十九想太の生活

 

2024/2/28-2024/3/3までシアター・アルファ東京で公演された舞台「九十九想太の生活」を観劇したのでその感想を書きます。

オタクの自分語りも多いです。

 

 

 

劇場に入ると家。

 

https://twitter.com/SPRINGMAN_net/status/1764675582103781400?t=PimG9wH900GsA7cRWJMRQQ&s=19

 

毎回思うけどどうやって建てたの??となる。

前と同じやん!て思って自分が観た過去作(桜田ファミリー物語、弁当屋の四兄弟)の舞台写真探したら基礎は一緒だけど趣が違ってた。記憶どないなっとんねん。

九十九家めちゃくちゃ古いね、築60年(推定)

梁曲がってない!?

壁の日焼けの色〜(テレビの痕跡)

おばあちゃんとかが趣味で描いてる絵はがきみたいなポストカード、城とか五重塔っぽいのでもしかしたら観光地に売ってあるやつかもしれない。

昔うちのばあちゃんも親戚の大叔母さん?もよく描いてたの思い出した。流行ったんかな?

 

食料品置いてる棚にラ王っぽいのあったな。炊飯器あるのにさとうのごはんっぽいのもあった。

カップ麺買ってくるのにどうやってお湯注ぐんだろ…?となった。

ポットっぽいのが炊飯器の横に見えたような、鍋でお湯沸かすんか?

 

デカゴミ袋床直置き〜〜!一人暮らし感ある。

ゴミ箱だるいしいらんよね、わかります。

 

まるやまたつやさんの曲が流れてて、良いよね~って言ってたら時間になって始まる雰囲気に。

 

 

BGMが小さくなって、ぬるっと想太が登場。

二人以上いるときはすごく舞台だなと思うけど、想太やゆうやが一人になった瞬間は本当に家を覗いてるみたいで申し訳ない気分になる。

 

想太、冷蔵庫あけっぱなしで水飲むところな、

でかいペットボトルをラッパ飲みするところな。

どっちも一人暮らしだからできるやつ。

 

最初の状況説明の台本がうまい。

こうじは隣に住んでるし、兄でなくいとこだし、想太は仕事辞めたし、なんとなくの感じが自然に説明されていてうまい。

 

そして、「今日は土曜日だから犬の散歩はさおりの日」というこうじの台詞を受けてぼそっと想太が「今日土曜日か」と呟くことで、想太が曜日感覚もなくぼんやり生きていることがわかる。

 

 

想太とこうじの会話「リッキー、ちっちゃいときは可愛かったのにね」は人間から犬に対する感情だけど、まわりの大人たちから九十九兄弟へ対する感情も似たようなものかなぁと。

他所の子って毎日会うわけでもないので、急に大きくなったり、大人になったりしててびっくりする。

昔は走り回ったり可愛いだけの存在だったのに、自分で物を考えたり悩んだりするようになったんだな〜みたいな。

でもあの頃の面影がチラつくので、小さい頃を知ってると変な感じがする。

(恩師のお子さんが最近卒業したのをインスタでみてもうそんな歳か……となった)

 

みよ→ゆうや「また大きくなった?」みよ→想太「そうた〜🥰おいでおいで」的な感じが、自分より小さかった存在は大きくなってもまだ小さい面影を見てしまう感じね。

 

 

こうじさおり夫妻のトレーナーnaga sugiru inu 何気にイロチペアルックなとこ(しかも同時には着ないとこ)

じゃんけんで決めたら?って言われて、じゃんけんは良くない、じゃんけんへの恐怖なに?

こうじの作ったシナリオでは、こうじ→さおり「夫婦で決めたルールはちゃんと守るべき」のくせに、実際はこうじがリッキーのごはん当番サボろうとしてるの残念な夫感。

 

想太がしぶしぶ散歩に出かけると、ゆうやが帰ってくる。

いや、帰るの話してなかったんかい。電話番号だけしか知らないなら電話出なくて…はあるか。

 

 

想太は来てねって言われて行くけど、ゆうやは行きますって笑顔で言うくせに来ない。ゆうやの外面の良さ。

こうじから「返事だけはいいからな」「そう言ってこないのがゆうやだからな」って言われてるのグレてた時代があるのに意外。

母の三回忌とかも行くって言ってたのに来なかったんだろうな。

 

 

アトム=原子で最小の単位なので、アトムスタッフで解体業者の名前なのおもろい。めちゃくちゃ壊す気満々か?

三条が親父って呼んでるけど、兄貴みたいな感じで世話になってる社長のこと呼んでるだけの可能性90%

三条もヤンチャだったけど今ちゃんと仕事してるし、不動産関係の知り合い紹介できるくらいなの偉い。見積もりも一人でちゃんとできる。

そもそもツナギがかっこいい。なんで?作業着ってだいたいダサいが。うちの作業着と交換して。

 

三条の登場シーンは2回しかないのにめちゃくちゃ印象に残ってる。(おいしい役どころなのもある)

なんというか華がめちゃくちゃある。「〜〜ッスね」っていう口調が軽いのに対して、ちゃんと自分の軸を持って仕事に向き合ってるんだな〜というギャップが良い。

ゆうやに対しては「兄貴〜🐶✨」って犬みたいに懐いてたのに、ギャップがあって大変良い。柴犬。

コーヒーもらうときCMみたいだった。

 

 

ピザ頼んで特急で持ってくる八村。ピンポンしないで庭からくる八村。声がデカい八村。

電話に出たのは八村じゃなかった?

 

たまのやり取りにアドリブが入ってておもろかった。

インド料理屋は一週間でしめたとか、ピザ屋がおじさん(八村父)の夢だったとか

 

ゆうやが八村にお代渡すときも、お金を受け取らないのは久しぶりだからサービスとか、ある回はウエストポーチがなくて(アドリブの仕込みなのか純粋に装着忘れなのか、急いで来たんだや八村)お釣りがないからみたいなそぶりを見せてサービスとか。

 

 

五木家が訪問してくる。

そもそも玄関の鍵あいとんのかい。不用心な。

世田谷区のことあんま知らんが田舎ではないから施錠ちゃんとしよ。田舎でも施錠はしよう。

 

コップを探してるときに、推しの左薬指に指輪がついていてハヒ…となったオタク。

ショック(結婚したのか…俺以外のやつと……)みたいな感覚に一瞬なったのはオタクの通過儀礼なので気にしなくて良いです。そもそも役だし。

推しが指輪してるという事実の尊さでオタクが吹き飛んでしまった。悪霊退散。

 

クソクソ余談だけど、美容院に行くタイミングがなくて観劇前の午前中に近場で髪切ってきたんだけど、美容師さんがそろそろ結婚しようかな〜って言ってて

「指輪いらんくないですか?」「いらんですね〜〜指輪は食べれないからその分おいしいご飯食べた方がよくないですか?」「そう、それ〜!あと旅行行くとかね」とかいう話をした直後のオタク「指輪はいる」

 

推し結婚するかわからん(してたらめんご)し、しても指輪をオタクに見せてくれなそうだから、今回付けてくれてありがとうございました。何かしらの栄養を得られました。

オタクも同じ指輪つけたいとなったけどさすがにそれはオタクキモいのでブランドかせめて指輪の幅とか材質だけでも教えてくれませんか?(キモい)

 

そりゃそうなんだが、指輪を見せびらかすわけでもなく、ごく自然についてますやんみたいなのがめちゃくちゃくちゃ良かった(結婚して10年以上は経ってるのでそれはそう)

 

みよがグミを食べさせようとしたときの治の「ここでやんないでよ〜」家ではやっとるんか?

娘は10歳だけど、パパが若いのいいねと思うと同時に、家で両親がいちゃついてるのどうなんだろ〜いちゃついてないかもしれんが仲は良くていいね。

芋掘りしたりしてるしな。

 

 

みよに「悩んでることがあるんなら何でも言って」と言われて想太がしぶしぶ「自分でもわかんないんだよね」と答えて、「何でも聞くから」という追い打ち。

話を聞いてもらえる環境があるのはありがたいんだろうけど、想太にとってはなんでモヤモヤしてるのかイマイチ言語化できないんだろうし、自分ひとりでモヤモヤしていて、みんな部外者(身内のゆうやは家には住んでいないから)なのに勝手に家を壊す話を進めて想太に強要しようとしている感じがして不愉快なんだろうな〜と思う。

でも想太は根は人を傷付けないようにする子なんだろうなと思うけど、モヤモヤしてるからちょっとの気持ちの変化で相手に当たっちゃうんだろうなと。

だから一度は逃げることで回避しようとして、次は言葉をぶつけてしまう。

 

佐竹のおばさんちがどこにあるかわかんないけど、想太が子供の頃の平成にもまだ肥溜めがあったんか………?そのへんの事情わからんけど、想太災難だったな………

肥溜めに落ちるって、ふ〜ん落ちたんだねぇとわかった顔で聞いてるけどどんなもんか全然わからんのよな。創作上よく聞くけど、実物やシステムをよく知らないので。

運んできた糞尿を入れやすいように畑や田んぼのそばにあったって聞くし、足元より下にあったほうが注ぐには都合が良さそう。

ダンジョン飯の非公式個人解説で肥溜めは日本独自のシステムだって聞いたのが最近の肥溜め知識。

 

 

佐竹のおばさんや中田の海など、具体的な地名をめっちゃ出してくるところがスプリングマンの台本っぽい。

佐竹のおばさんとか出てきてもなんもわからんけど、そちらの共通認識があるんだろうなとか、昔夏はあの海に行くのが定番だったんだろうなとか、

七瀬が釣り行こうぜ、市谷?でなんかよく行ってたのか?とか、ストーリーには出てこないけど、過去にも未来にも話が広がっていく感じがする。

 

 

想太から他人って言われてショックを受けて放っておいたらグチグチと言い出しそうなみよをグミで気をそらさせる扱いのうまさ。部屋で休もうと言って荷物を全部持つところ。

みよから治はちょっと残念な夫って言われてるけどえ〜〜旦那やんけ。

なんでもおいしいって言うのもええやん…

 

 

不貞腐れて昼寝をしてしまったゆうや。

そういう場面を覗くの相変わらず申し訳ない。

 

そこへ来る北九州の男、二階堂。

事前の説明が一切なかったけど、「土地の…」という言葉で地主か〜とわかる(パンフにすごい説明が書いてあった)

下関と門司が出てきたところで福岡出身の私「新幹線で…帰る…!?」確かに、パッと乗れるし羽田より近いけど大変じゃない!?と変なところで引っかかった。門司あたりの空港からの利便性わからんけども。

北九弁は話者の知り合いが2人くらいしかいないけど、あ〜北九の人っぽいなぁという話し方でよかった。

監修がいるのか…?と思ったら脚本の澁谷さんが小倉出身だった。

福岡は語尾「〜〜けん」「〜〜ちゃん」だけど、北九は「〜〜け」「〜〜ちゃ」という「ん」を発声しないという気付きも得られました。確かに北九出身の先輩その話し方だったわ。

 

よく思うのが、東京の人って「〜なのよ」みたいな東京弁?を使うよね。

なんでか標準語のイントネーションで「〜なのよ」とかを聞くとお姉さん言葉な印象を受けるけどこれはなんの影響なのかな。

おじさんおばさんとかが使ってると違和感というか本当にそういう話し方するんだ?となる。

東京の知り合いがほとんどいないので、飲食店で実在のおじおばが喋ってるの聞いたり、創作物で聞いたりするだけなんだけどね。

 

 

ゆうやはお客さんが来たらちゃんとお茶出したりできるのに対して想太はまだそういうところの気が利かない…?

まわりの大人たちが世話を焼いてくれてたので、葬式とか三回忌とかもなんとかなったんだろうな。

でもゆうやが二階堂にはお茶請けを出したのに、一ノ関には茶だけしか出してないの、ちょっとおもろい。何かを感じ取っているのか。それとも二階堂は大事なお客様だからちゃんと対応しただけなのか。

 

貸したおそらく母の傘が何気に似合っていてお洒落だった。

 

 

夜になって真っ暗な中、紐を引っ張ると電気が点いてお〜となった。

和室にあるあの四角の照明。ほんのり舞台の照明も点いたけど、夜中の居間って感じで良かった。

 

夜中に訪ねて来て、メリーさんだの、アナ雪だのでドアを開けさせようとするのおもろかった。

 

 

想太、ノーと言えない性格でストレス溜まっていくのか?

ピザたのむとき、ピザ食べたとき、その他もろもろ…

でも友達の作ったまずいピザをうまいよって言うのいいやつ。

お前ら友達みんないいやつ。

 

いいヤツだよ、八村は(はが強い)

小中学生のときに「〜なヤツ、八村」って毎日言ってたっしょ。

 

 

想太のテンションは親族と友達であんまり変わらないけど、やっぱり友達の前だと楽しそう。

仕事辞めたって言ってさり気なく八村をパシって二人だけで話そうとする七瀬。真面目な話したかったけど八村がいたら3人でわちゃわちゃしちゃうから?八村ってそういう雰囲気にしてしまう明るいヤツそう。

 

七瀬は想太のこと気にかけてもいただろうけど、仕事辞めたって聞いて自分の悩みも聞いてほしかったんだろうか。

悩み事って相談してもだいたい自分の中でほぼ決めかけていることを誰かに話すことで整理したり、決心したりするだけだよなと思う。

七瀬が会社つまらんって言ったのに、最終的に配信か会社かで会社を選んだの、自分は悩み相談していい気になってるだけだよなって思ってたのを、良い回答した想太を見て確信して踏ん切りがついただけかもしれない。

 

七瀬が一万人のフォロワーか仕事か、って天秤にかけて仕事を選んだの、七瀬の考えはわからないけど、

アンチはブロックする七瀬だから自分を受け入れてくれるフォロワーで、そのアカウントは自分にとって都合が良かったり心地良い環境であるはずで、

対して会社はつまんないところで、って考えると最終的に会社を選んだ七瀬はこれから自分でつまんない環境をおもしろくしようって思ったのかもしれないし、そんなこと大して考えてないのかもしれない。

 

「お、な、や、みヒーロー!」

「アンチはブロックしまぁ〜す(シュシュシュ)」

ポコポコピン(?)みたいなやつ

などダサな言い方が逆にクセになってきてよかった。

 

でもいつもの配信ローテあるのに夜中に突然配信開始の通知来てて参加できずに朝にアーカイブみたら推しが引退するって知らされた視聴者の気持ちも考えてください(?)

 

 

あと、「スプライトを買いに行った妻が帰ってきません」は弁当屋の四兄弟の父と母の話では……

豆腐屋の話も煎餅で出てきたし…良い感じにリンクしてていいですね。

他にも気付いてないだけでスプリングマンつながりあるのかな。

 

おつかい(パシリ)から帰ってきた八村がコーラ買ってきて、おつまみにテキトーなもの(いちご、クツシタ、自分だけの夜食etc...)買ってきて、千穐楽ではコーラぶちまけるとこ最高だった。

 

家がなくなるって聞いて泣いちゃった八村。

想太はモヤモヤの正体がピンときてなかったのかもしれないけど、八村が泣いたことで、悲しいとか寂しいとかの気持ちに分解できたのかなと思う。

 

 

二人が帰ってからの、みよが台所にやってくる。

服薬していると聞いて心配になる想太。母が病気で苦しんでたの知ってるからそりゃ心配になるよね。

ヒューって言ってお菓子食べさせるやつ、想太が色々思い出したわって言ってて、ちょっとのきっかけで昔のこと思い出すよね〜って思ったり。

小さかったときの、ヒューってやってたときのまわりの笑顔とかきっと思い出したのかなぁ。

 

 

電気消して暗転したら回想にとぶの〜良〜

人が大事な話してるときにゲームするなって言うけど、ゲームしてるときにいきなり話しかけてきたのは兄ちゃんじゃん…(謎の反抗心)

勝手に家出てったくせに、一緒に住んでるんだから通院の世話をしろ、病状や治療をしっかり把握しろ、って言われてもこっちは就活してるのに、口出してくるなよ、と想太に感情移入してしまうほど、想太の態度や声の荒げ方が良かったな……

声を荒げるお芝居って結構あると思うんですが、人の怒鳴り声ってやっぱり聞いていて気持ちの良いものではないので台本やお芝居ってわかっていても嫌だなぁと思うんだけど、今まで観た中で一番のナチュラル怒鳴りだったと思いました。

二人ともお芝居がめちゃくちゃうまいな……何回観ても、人生に一回だけのワンシーンを生で見ているようだった。

 

家族の介護する側って、健常なときを知ってるからままならない姿を見て支えなきゃって思うけど、自分の時間を大きく奪われるし辛そうな姿を見るのも辛いし、お互いに本当にしんどいよね。

 

 

どん底の空気感からあけて、翌朝の九十九家の居間。

あの暗闇の中でよくオセロと荷物を準備できたなと感心するオタク。

 

嫁自慢でマフィン作ってくれるって言って、昔からみよを知ってて多分気が強くてお菓子作りなんてしない人なのを知ってたのか、大爆笑するこうじ。それにちょっとキレる治。

直前のどん底から明るく持っていってくれて良かった。

さおりのこうじの真似がうまいのずるい。

こうじの残念夫感に拍車がかかる。

 

 

 

アポなしで元職場の元先輩が家に押しかけてくるのちょっとしたホラー(なんで住所知ってんねん)

 

人んちの座布団で初っ端からあぐらかいたり(足痛いので崩して良いですかとか聞きな)、急に人んちでたばこくわえだしたり、マナーとか常識がないのは一ノ関さんもでは…???とツッコミそうになった。

一人っ子って聞いてたのに兄を紹介されて、そのまま言っちゃうのも悪手では……事情があるのかもしれないから、あ、お兄さんなんですね…くらいにしとけば良いのに……

 

ゆうやは当たり障りなく初対面の人とも話せそうなのに、めちゃくちゃ気まずそうなの厄介がきたなと思ってないか?

自分は家の中で(一応換気扇の近くで)煙草吸おうとしたのに頑なに禁煙ですって言うとこで拒否具合も見える。

 

想太が社会の常識がちょっと身に付いてないの、先輩がこれだからか…?まあ自分で調べなよとも思うが……

会社辞めるのは手順踏んでなかったかもしれないけど、本当にヤバくなるまえに辞めれたのはよかった。

 

やるべき仕事を想太たちに押し付けてたとか、想太の辞めた後の処理を別の人がやったのに自分がやったとか言うあたりのエピソードが飛び出してくるけど現場を見てないけどそうだろうな〜と思わせるそれまでの言動があるからお芝居と脚本の流れがうまい。

一ノ関さんめちゃくちゃ小物感あってよかった。

日常劇なのに小物感あるのおもろい…しかもちゃんとそこらへんにおりそう。

 

「クズみたいになっちゃうよ」の言い方、茶化しつつ俺が後輩の指導してますよ感があった。なんちゅーか後輩とフレンドリーに接してますよ、みたいな。でも後輩からは付き合いづらいと思われてるタイプ。

 

それにカチンときたゆうやが中腰で「謝ってもらえますか」ってキレたのフゥ~となった。

それにビビりつつもビビってないですよ感の一ノ関さんもよかった。

めちゃくちゃ嫌いなタイプの人間だけど、おるよな〜謝れって言うくせに自分はちゃんと謝らない人。悪かったと思ってるは謝ってないんだよなあ。

その後、想太に指導するように見せかけて自分は間違ってないですよって自分自身をフォローするように言ってたのも最後までそういう人なんだな〜。

想太とゆうやがしっかり頭下げてるのに対して、一ノ関はペコってちょっと頭下げるだけで帰っていくところも。 

一ノ関は嫌味な人だけど、その塩梅が難しそうな役。

 

 

その後、勝手なことすんなよって想太が悪態ついてまた喧嘩な雰囲気になるのかな?って思ったけど、一ノ関という共通の敵(?)と戦ったからかすぐに和やかな雰囲気になってよかった。

兄ちゃんが開けた壁の穴。

あれ実際に殴って開けたのかな。

 

ゆうやは家にあんまり帰らなかった理由が、母さん見るのがこわくて…って言って涙を拭ってて、しっかりして見えたけど、しっかりせざるを得なかったのかなって。

みんな想太の心配ばっかしてたけど、ゆうやだって早くにお父さん亡くして、ヤンチャしたけどお母さんに負担かけたくなくて就職したのかもしれないし、そうじゃなくて家や地元から逃げたくなったのかもしれない。

それでいざお母さんが病気になったり亡くなったりして気持ちの整理がつかなかったのかな。

三回忌にも来なくて、東京に帰ることないかなって言ってるのも拠り所がもうないのかなって思った。

 

実家がなくなると特にどこに帰っていいかわかんないよね。

地元の友達も両親が家引き払って他の土地に引っ越したから、地元で集まろうやってなっても帰る家がないんだよねって言う子が何人かいてどんな気持ちなんだろうなってなった。

私も実家がなくなるかもしれないので実家がなくなったらどこに帰ったらいいのかなってなる。

今住んでるところには住んでる気がしてないので……何年住んでも私は余所者という気持ちが消えない。

 

ゆうやが帰るときにハグしよみたいになって、想太が「帰れよ!自分ちに!」って照れ隠しギレするけど、

回想の「帰れよ!自分ちに!」って怒鳴るのと重なるけど全然違って良かった。

 

別れ際の、友達にバイバイする感じとは違うのがわかる〜となった。

だって普通兄弟は同じ家に帰るんだからバイバイしないんだよな。それが大人になって別居してバイバイが発生したときのぎこちなさね。

 

 

時間が経って、家の取り壊しのことで三条がやってくる。

ゆうやも想太も三条に「ビールのみます?」って出すお茶目なところな。やはり兄弟。

 

「人んち壊すってどんな気持ちなんですか?」って聞いたこと、さすがに棘があったなって想太反省してるけど、ゲームのくだりもあり、ゲームでは人んち壊すの爽快感ばかりだと思うけど現実だとどうなんたろうという純粋な興味もあったんじゃないかなと思う。半分は自分が家壊すのなんだかなぁって思ってるのに仕事だからって壊すのってどんか気持ちでやるの?っていう攻撃の気持ちもありそうだけど。

 

そんな嫌味も三条は気にせず、家の持ち主の気持ちに寄り添ってくれるような三条に憧れを抱くのはわかる。

 

台本にはなかったけど、「ラフな感じできてください」で即タメ口になる三条可愛かった。兄貴って呼ばれてテンション上がっちゃう三条も可愛かった。

 

 

こうじがやって来て「ジャムの瓶があかないんだよ〜(ヨワヨワ)あと20個あるからうちに来て〜」っていうシナリオなの、想太にはバレバレでおもろかった。散歩のときはそうでもなかったけど、結構バレバレだったんだなって思いました。

 

 

最後、想太が家の動画撮るときに、「母さんが座ってた安物の椅子」で長いこと見てた、しかも椅子じゃなくて座ってたお母さんの姿。

私も書きながら、おじいちゃんがいつも座ってた台所の椅子思い出して泣いた。

いつもおじいちゃん家に行ったらおじいちゃんが座っててテレビ観たり、パン食ったりしてたの。

絶対に定位置だったのに、おじいちゃんがいなくなってからは誰かが座ってるんだよな。

っていうのを何でボロボロになりながら書いとるねん。八村か。

全体を通して、自分の人生と重ね合わせるところが多くてそうなんだよか〜とかあるある〜とか。

 

天井の染み、小さいときに取り壊した実家のことを思い出した。寝てた和室の天井が木目でそんなのがあった気がする。

廊下の壁に落書きしたり。

そういえばおばあちゃんの家の柱に小学生のときに背の印つけてたな、あれってまだあるんだっけ、リフォームしちゃったっけとか。

今度帰ったら見に行こうかなと思ったけど、伯父伯母が住むためにリフォームするらしいのでなくなっちゃうかなぁ。柱まで手つけないかな。

 

 

ラストシーンで想太が家を見て、なんだかなぁって顔したのを見て、就職を機に初めて実家を離れるときになんか複雑な気持ちになって泣きかけたのを思い出したり。

 

 

タイトル 九十九想太の生活

大きな問題や事件が起こるわけではない。

家を取り壊すのは人生においても大きい出来事だけど、日本中の多くの人が経験するようなことの気もするし。

日々の生活はちょっと波立つことはあるけどあるがままに続いていく。

すごく良いタイトルだなと思ったのは、二階堂さんが想太に母の手紙を持ってきてくれたとき。

二階堂家ではその手紙で想太のことを知ってくれて、主人公みたいだって言われたとき、想太は嬉しそうな感じで、この作品と同じように想太も知らないところで主人公になってた。

中学生で兄が家から出ていって思春期に母一人と子一人の二人暮らしってどんな感じだったんだろう、兄ちゃんは自由でいいなって思うこともあっただろうし、

大学行くときに家を離れるという選択肢が母を一人にしてしまうのでなかったんだろうなとか、就活でもそうだったかもしれないし、それこそ母が病気になってしまって、ままならぬ人生だなあって思い悩むこともあったかもしれない。

自分は自分の人生の主人公になれていないな、ってきっと感じていたと思う。

友達に対して、生きてるって感じがするって言うのも、自分は生きてるって感じてないんだろうな。

八村は自分の意志で家を継いだけど、自分は兄が出て行って母が亡くなったから流れるように家の所有者になっただけで、自分の人生の決定権を得られていない=自分の人生の主人公じゃないなというような感じ。

それこそまわりの人が作っていく「九十九想太の生活」を近くで見ているような。

それが自分じゃなくて知らない人の主人公に自分がなってただなんて、嬉しいというか、なんかこうプラスの感情になったんだろうな。

 

 

 

それぞれの持ち物や服装がちゃんとパーソナリティを反映してるの良い。

ゆうやがダウンベスト着こなしてるのに対して、一ノ関はおじさんの着こなしなのもよい。

ただし、回想のゆうやは一ノ関みたいなチェックシャツなのもおもろい。

ゆうやのボストンバッグがスタイリッシュで良い。

 

治の旅行バッグは素朴なデニムっぽい布なのも良い。平凡、あんまおしゃれに気をかけない感じだけど、ダサを理解していて綺麗めな感じ。

こうじはリュックが手持ちバッグになるタイプなのも一石二鳥な感じでわかる。でも家にいるからあんま使わない。

 

八村はマクドナルドみたいなセーターでクラスにいるおちゃらけキャラのやつ感あってしかも手ぶら。

七瀬はリュックとかじゃなくトートバッグだしカーディガンでおしゃれな感じめちゃくちゃわかる。

 

 

千穐楽すごくよかった。

実感はまだないけど、この家ってなくなっちゃうんだよなみたいな想太の気持ちが、大千穐楽終わっちゃうんだなみたいな気持ちとリンクしてしんみりした。

 

想太も泣いてて、ゆうやも泣いてて。

カーテンコールで出てきたときの八村が一番泣いてる顔だったのまじで八村だった。

 

 

 

劇的に物語が進むわけではないし、問題が綺麗に解決したみたいなこともないけど、ちょっとでも前に進んだかな?と思うような作品。

 

観に来ていた高校生の子たちはどう感じたのか気になる。

高校生だとほぼ実家暮らしだから、親族の近すぎる感じとか年上の兄弟との関係で共感したり、遠い未来で家がなくなるってこんな感じ?みたいな疑似体験を感じたりしたのかな。

都市部に住んでたら実家がマンションな人も少なくないから、実家がなくなる可能性って一番あるし、そういう人たちもまた一軒家の話の感じ方違うんだろうな〜。

 

私は大人になって実家(一軒家)を出てからこの作品を観たからこそ共感したり、心にサクッと刺さるような思いをしていると思うので。

別に家族にわだかまりもなにもないけど、家族ってそんな感じだよねみたいななんだかモヤモヤするような、自分の中にある感情にリンクするような感覚。

決して九十九家と同じことはなにひとつないのに、そうそうそういうことあるんだよね、みたいな。

 

私はいとこも親戚もほとんど縁遠いので、家のことに親戚が首突っ込んできて嫌だなとかそういうのはないけど、

年一くらいでおじおばに会ったときとかに

高校生、大学生くらいになっても「大きくなったね〜」とかなんか子供扱いみたいなのでむず痒かったのを思い出した。

親戚ではないが、年一で会うお寺のお坊さんとかおばちゃんとかにも「大きくなったね〜」とか「大学/会社は〇〇ね。立派になってね〜」とかもあり、もう大人なんだがな〜と対応が難しかったり…

自分が小さいときから相手はずっと大人で、成長過程を見られてた相手ってよく気にかけてくれるけど、年一くらいでしか会わないからこそどう接してよいのか難しいし、相手は自分のこといつまでも小さかったときの印象で話してくるよなということもふと思った。

嫌いじゃないんだけど、どう接したらいいんだろうみたいな。

 

想太のモヤモヤ、なんとなくわかるなぁ〜

悩みっていうには言葉にしにくいし、相談するほどでもないし話すようなことでもない。自分の中でも整理ができてないし、放っておいてほしい。

自分は言ってないのに、他の人がいつの間にか自分の話(想太の場合は退職したこと)を知ってて、なんだかなぁみたいな。なんで話の回覧速いんだろうね。

 

ちょっと歳の離れたと兄が親戚に対して敬語で愛想良くて大人な対応してたり(しかもヤンチャだったくせに)、そんな兄に対して自分は親戚に対してタメ口だからなんだかなぁみたいな。

想太はあんまそれは思ってないか?

私は自分がまだ学生で姉がそういう感じになったときにモヤモヤというか、そうか〜〜〜私はまだ子供なんだなぁとなったりした。

 

 

九十九家と同じ出来事があったわけではないけど

勝手に自分の人生と重ね合わせることが多くて、ストーリーに没頭するだけではない珍しい観劇体験だった。

 

 

芝居のうまい人しかいないけど、そうそう、こういう人おるんよなみたいな塩梅が皆さん素晴らしかった。

主演の前川さんのお芝居初めてみたけど、すごく良かったなぁ。

パーソナリティを知らないから、九十九想太その人に感じられるし、カーテンコールの最後まで九十九想太だなと。

 

 

特別な日でもなくありふれてそうで何でもない日だけど、振り返ってみたらそんなありふれた何でもない日に背中を押されたり、何かの拍子に思い出すのってそんな日だよな、と自分の人生を愛おしく思い返す日になった作品でした。

 

素敵な作品に出会わせてくれた浦尾さんありがとうございました。

またスプリングマンさんの舞台観に行きます!